フィットテスト

2023(令和5)年度からフィットテストの実施が必要になります。屋内作業場において金属アーク溶接等作業を行う事業所が対象です。

屋内作業場の定義

  • 作業場建屋の側面の半分以上にわたって壁、羽目板その他遮へい物が設けられている場所
  • ガス、蒸気又は粉じんがその内部に滞留するおそれがある場所

フィットテストとは

金属アーク溶接等作業を行う労働者が着用している呼吸用保護具(面体を有する防じんマスク等)のサイズ、形状、装着状態が適切であるかを確認し、正しく着用するための試験をフィットテストといいます。

  • 定量的フィットテスト、定性的フィットテストの2通りの実施方法があります。
  • 労働者に初めて呼吸用保護具を使用させる時、また1年以内ごとに1回、定期的にフィットテストを行い、防護係数(フィットファクター)の基準値を下回らないようにすることが求められます。
  • フィットテスト実施の時期、頻度、記録の保管が求められます。

なぜフィットテストが重要か

呼吸用保護具は装着するだけで効果があると思われやすいですが、用途に適した呼吸用保護具を顔面に密着(フィット)させなければ、その効果は半減してしまいます。呼吸用保護具は適切な選択と装着があって初めて性能が発揮されます。

呼吸用保護具が性能を十分に発揮するかはフィットテストを行うことで確認できます。フィットテストでは、呼吸用保護具の面体が適切な密着を与えるサイズと形状であるのか、適切な装着状態であるかを確認します。

  • 年に1度のフィットテストの義務化が、法改正により新たに追加されました。
  • 屋内作業場で金属アーク溶接等作業を継続して行う労働者を雇用する事業主は、フィットテストに関する全てについて責任をもたねばなりません。

フィットテストの実施者

フィットテストの実施は、事業場の中からフィットテスト担当責任者として指名された人が行う場合と、フィットテストを事業とする外部の機関に委託する場合があります。

実施する者には以下の知識及び能力が必要とされます。

  • フィットテスト方法の知識
  • フィットテスト機器の準備及びその動作を観察する能力
  • フィットテストを実施する能力
  • フィットテスト不合格の推定要因を見つける能力

作業環境測定士、特定化学物質作業主任者、保護具着用管理責任者、産業保健スタッフ等の労働衛生に関する知識及び経験を有する者が望ましいとされています。

フィットテストの対象となる呼吸用保護具

フィットテストは、面体を有する呼吸用保護具が対象になります。下図は一例になります。

防じんマスク

フィットテストの対象となる呼吸用保護具
取り替え式・全面形面体
フィットテストの対象となる呼吸用保護具
取り替え式・半面形面体
フィットテストの対象となる呼吸用保護具
使い捨て式

電動ファン付き呼吸用保護具

フィットテストの対象となる呼吸用保護具
全面形面体
フィットテストの対象となる呼吸用保護具
半面形面体

フィットテストの実施にあたって

フィットテストの目的

  1. 適切なフィットが得られる面体の型式とサイズが選択できていること
  2. 呼吸用保護具が適切に装着されていること

測定回数と記録保存

  • 1年に1回、定期的に実施します。
  • フィットテストの実施記録は3年間保存する必要があります。
  • 体重の著しい変化、顔の変化、呼吸用保護具の変更など密着性に変化が生じた場合は上記とは別に実施する必要があります。

合格の要件

フィットテストでは、呼吸用保護具の外側と内側、それぞれの粉じんの濃度を測定し、以下の計算式によりフィットファクタを求めます。

フィットファクタ = 外側の粉じん濃度 / 内側の粉じん濃度

呼吸用保護具には面体の種類に応じて「要求フィットファクタ」が定められています。
この「要求フィットファクタ」を上記で計算したフィットファクタが上回っていれば合格になります。

  • 要求フィットファクタは全面形面体:500、半面形面体:100です。

注意事項

  • 頭髪、ひげ、アクセサリー、衣類などが呼吸用保護具の面体と顔面との間に入った状態では、フィットテストを行うことはできません。
  • 喫煙者は、喫煙から30分以上経過した後にフィットテストを行います。喫煙後に肺からたばこの煙が一部放出され、テスト結果に影響を及ぼすおそれがあるためです。
  • 現在使用している呼吸用保護具のしめひもや排気弁等の劣化、面体の損傷、フィルタの取り付け不良等はフィットテスト不合格の要因となりますので、テスト前に確認や交換をお願いします。
  • 呼吸用保護具のサイズが不適切だとフィットテスト不合格の要因となることがあります。サイズの異なる呼吸用保護具を用意することをお勧めします。
  • フィットテスト当日は現在使用している防じんマスクと同型の予備マスクを必ず持参して下さい。
  • フィットテストを行う際に必要なサンプリングアダプタ(各マスク専用)や模擬面体は各事業所にて準備をお願いします。
  • 使い捨て式防じんマスクのサンプリングプローブは当社で準備いたします。
  • フィットテスタ実施前に被験者氏名、マスクメーカー、型式等のデータを指定様式に入力し、送信していただく必要があります。

必要書類

下のリンクから取得をお願いいたします。

フィットテストに関するお問い合わせ先

ご不明な点がありましたら下記までご連絡ください。

環境測定室

TEL : 099-267-6240(FAXも同じ番号)
e-mail:sokutei@hsck.jp